前歯の話

2020年7月26日

健康 骨折

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前歯の治療が一段落しそうなので、この辺でメモをまとめておきます。長ったらしいですが、結論から言うと、歯はとても大切なので、大事にしたほうがいいです。私は気づくのが遅れました。以下、メモ書きです。


(上唇をびろーんと上げたところ。2020年7月26日に撮影)

これまでの経緯

私の前歯は、自身の性格と同様ひねくれていて、小さい頃から左右に広がって生えていた。そのことを心配した両親が、高い治療費をかけて矯正してくれたのに、小学校か中学校の時に、親友と正面衝突して、2本ともポッキリ折ってしまった。これは親にも親友にも本当に申し訳なかった。

親友は額から血を流して倒れ、ちょっと格好良かった(笑)。一方、私は歯が折れて神経がむき出しになったため、しばらくすると、息をするだけでも痛むようになった。急いで歯医者に連れて行ってもらって、処置を受けた。以来、ずっと差し歯である。

時は流れ、2010年4月。東京の歯医者さんで前歯を診てもらったことがあった。当時の先生は「この根っこ(歯根)はもうダメだから、そのうちに前歯が抜けると思う。そしたら、インプラントか何かにしてください」と言っていた。なるほど、そういうものかと思って、以来、治療はあきらめていた。

プラリアで治療が困難に

6年後の2016年2月、前歯の被せものが外れたので、久しぶりに歯医者さんに行くと、前の先生はもうおらず、新たに若い先生が担当してくれた。レントゲンを見ると、歯根の中心部分に、太さが歯根の1/3ほどもある中空の穴が見えた。穴に詰まっているはずの薬はほぼなくなっており、ばい菌の通り道になっているという。歯根の根本には黒い影が写っており、ばい菌や膿が溜まっているとのことだった。

前の先生の時に撮影した2010年4月のレントゲン写真と比べたが、大きな差は見られなかった。歯茎に噴火口のような白いイボができて、そこから膿が放出されているようだった。6年経過しても変化がないのだから、5年後もこのままかもしれなかった。その一方で、5年後には歯根が溶けて抜け落ちる可能性もあった。

先生は「歯根の治療をすべきだ」と主張した。もし歯が抜けてしまうと、選択肢がかなり狭められるからだ。選択肢の一つである「ブリッジ」は、前歯2本の隣にある健康な歯4本を削って、計6本分の差し歯みたいなものを被せる形になる。セラミックスの場合、1本10万円×6本で、60万円もするという。

「部分入れ歯」の場合、40万円ほどかかる。前歯の両隣の歯を少し削って金具で止めるので、見た目が悪くなる上に、歯茎で噛むような形になるため、うまく噛めないのだそうだ。

「インプラント」は、1本40万円もする上に、歯根を支える骨がないので、骨を作るための治療が長期間必要になるという。

先生は「もし自分だったら、歯根の治療をやってみる」と言っていた。やってみてダメになる可能性はあるが、それでも自分の歯を長持ちさせるにはそれしかないとのことだった。

もし歯根の治療をする場合、根気が必要だ。仮歯を付けて通院しながら、何度も繰り返し歯根の掃除をする。ざっと、2~3カ月はかかるそうだ。その上に新たなセラミックスの被せものをかぶせる。金額は20~30万円だという。

これらのことを総合的に考え、失敗を覚悟の上で、根っこの治療をすべきだと思った。しかし、この頃は親会社に出向中で、仕事が大変だったから、治療を先延ばしにしてしまった。

その後、2018年5月に左足を骨折し、骨粗しょう症であることが判明。プラリア注射による治療を始めたものの、この薬には抜歯などの侵襲的治療によって顎の骨が壊死するリスクがある。このため、後述するように歯医者さんにとって、治療しにくい状況になってしまった。今にして思うと、この2016年のタイミングを逃したのは痛かった。

在宅勤務を機に治療開始

2020年4月17日。新型コロナが流行っているので、歯の定期検診は延期したほうがいいという人もいたが、なんとなく行ってみた。客は少ないが、通常営業だった。歯は比較的きれいで問題なしと言われた。残るは長年の懸案である前歯である。

今なら、歯根をキレイにして薬を詰め、土台を金属ではなく、ファイバー強化型の樹脂にして、噛んだ際の歯への衝撃を緩和できるという。4年前から先生に勧められている案件だし、ちょうど新型コロナで在宅勤務になって、時間を自由に使えるから、治療を始めることにした。

2020年4月21日。まずはレントゲン撮影。次に仮歯用の型取り。レントゲンの結果、前歯の根っこはそこそこ残っていて、中心部の穴には、部分的に細く薬が残っていた。ただ、なぜ、このような悲惨な状況になったのかは先生もよく分からないと言っていた。まあ、処置をしたのは別の先生なのだし、ずいぶん時間が経っているのだから仕方がない。

上の頭蓋骨側に黒い影がある。ここは頭蓋骨が溶けて、膿やばい菌が溜まっているらしい。ただ、この領域は歯科では手出しができず、本人の免疫力でなんとかするしかないのだそうだ。ちょうど、新型コロナで免疫力が大事と言われているから、一石二鳥である。

歯根の治療は、何度も繰り返す必要がある。歯根の内壁をキレイに削って薬を詰め、仮歯でフタをしてしばらく過ごす。その後、再び仮歯を取って、内部をキレイにし、再び薬を詰める。この作業を繰り返し、問題がなければ、ファイバー強化樹脂の土台(ファイバーポストコア)を埋め込む。今までの金属土台よりも深く、歯根の途中まで入る形になる。そして樹脂で歯と密着するので、もろくなった歯を補強できるらしい。とはいえ、強く噛んだりすると、歯が割れてしまうリスクもある。前歯はなるべく使わないほうが良いだろう。

まるで土木作業

2020年5月1日。仮歯を付ける。セラミックスの前歯をガリガリと削ったり割ったりして取り外し、中の金属支柱をハンマーでコンコンと叩いて外す。まるで土木作業である。内部をざっくりとキレイにして、仮歯(保険適用外で5500円)を付けた。

仮歯は前歯2本分が一体となったものだ。差し込んだり取り外したりして調整しているうちにピンが折れて歯の奥に詰まってしまった。これがなかなか取り出せず、かなり時間がかかった。次回から歯茎上部の「膿の袋」が消えるまで根の中の洗浄と消毒を繰り返す。

2020年5月3日。根っこの治療。仮歯を外し、内部をガリガリと削った後、消毒液を注入して、歯茎上部の「膿の袋」から排出させた。しかし、なかなか膿が出なかったようで、内圧が高まって大変な痛みが生じた。必死に堪えたが、涙が出るほど痛かった。

次回は歯茎に麻酔をして、歯茎の内部に溜まった歯石を取り除くとともに、「膿の袋」の出口を切開して膿を出しやすくしてから、内部を高圧洗浄する。帰宅後、左前歯をちゅうちゅうと吸ったら、内部を高圧洗浄した際のようなズキッとした痛みが走った。あまり吸わないほうがよさそうだ。

2020年5月13日。歯茎に麻酔を打って、歯茎の奥にある歯石をとった。麻酔を打つときが一番痛かった。歯茎の奥に歯石があるため、歯茎が腫れていたそうだ。この状態では被せものがうまくフィットしない。前回、根っこの治療をしているので、膿の袋はずいぶん縮み、落ち着いてきたようだった。次回は引き続き、根っこの治療を続ける。

2020年5月19日。根っこの治療。歯茎の腫れや膿の袋はずいぶん良くなったらしい。一方、穴の内壁はずいぶん汚れているそうで、ガリガリと削った。右側はもうほとんどキレイな状態になっており、次回問題がなければ、埋めてしまってもいいかもと先生は言っていた。左側はまだ汚れや膿があるようだ。

2020年5月26日。緊急事態宣言が解除された影響か、待合室には大勢の人がいた。相変わらず、根っこには膿が溜まっているらしく、次回も引き続き根っこの治療をする。

謎の黒い鼻水

2020年6月1日。前日に黒い鼻水が出た。それも大量に。まるで映画「第9地区」のヴィカス・ファン・デ・メルヴェである。夕方、いつものように鼻に水を吸い込んでブハーと吐き出す鼻うがいをした。すると、左の鼻の穴から、何か大きな物体が出る感触がした。出してみると長さ10cmほどの巨大なミミズのような黒い鼻水だった。

通常の鼻水よりもねっとりしていて、手に取るとプルンプルンしていた。鼻はすっきり爽快になった。副鼻腔炎(蓄膿症)の可能性がある。前歯の根っこの治療で、ウミが鼻から出てきたのかもしれない。

歯医者の先生に聞いてみると、前歯の根っこの膿ではなさそうとのことだった。その後、実家の母の友人である“ハッチャン”が高田の歯科医に聞いたところ、「古い鼻血」と判明した。鼻血の記憶はほぼないが、たぶん鼻血だと思う。

膿を出し切る

2020年6月5日。根っこの治療。何をしているのか見えないので想像だが、膿を吸い取ったり、洗浄液で洗ったり、穴の内壁をガリガリ削ったり、薬を詰めたりしているような感じだ。今回は治療後、左側の歯茎の上にプックリ膨らみができてしまった。本当は歯茎を切って、細菌感染した部分を切り取ると良いのだそうだが、プラリア治療のため、それができないらしい。次回はいよいよ埋めるとか言ってたが、腫れてるからダメだろう。

2020年6月8日。左側の歯茎に噴火口のような腫れができてしまった旨伝えたところ、歯茎の上を軽く切って内部を洗浄することになった。麻酔をしたので、よく分からなかったが、それなりに切って膿を出し切ったようだった。化膿止めの飲み薬をもらった。

2020年6月16日。朝一番なので、すいていて便利。右側がたまにチクチクと痛む旨伝えた。本来なら薬を詰めたいが、念のため、もう一度内部を洗浄することになった。

2020年6月19日。いよいよ根っこの治療も終わりということで、内部を洗浄し、最終的な薬を埋め込んで、レントゲンを撮影した。

2020年6月23日。見慣れないレントゲン画像が表示されていたので、席を間違ったかと思った。しかし、それは自分のものだった。先生によると、右側の根っこ周辺は空洞(レントゲン画像の影の部分)が小さくなってきているので治りつつある。

一方、左側の根っこには相変わらず大きな空洞があいており、そこに前回詰めた薬が“鼻ちょうちん”のようにはみ出していた。はみ出した薬は骨の再生を促すための薬剤で人体に害はないのだそうだ。

この状態で長期間放置すると、仮歯の隙間から雑菌が入り込んで、再び歯の内部が感染してしまう。そこで、次回は完全に隙間を塞いで、ファイバー樹脂の支柱を立てる。その上にセラミックスの被せものをかぶせて終了となる。

ただし、根っこの空洞部分が治るかどうかは本人の免疫力にかかっている。もし、悪化した場合は、歯茎を切り開いて、根っこの先端部分を切除する外科的な手法が必要という。ただ、そのような侵襲的な治療をすると、プラリアの副作用で顎の骨が壊死してしまうリスクがある。したがって、これ以上悪化しないことを祈るしかない。

また、これでもダメだったら、次は抜歯するしかないというような話もしていたが、それは体への負担が大きく、避けたいと言っていた。たぶん、プラリアの副作用を心配しているのだろう。

現状の歯は神経が抜かれ、体から栄養が送られない、いわば「枯れ枝」のような状態なので、金属製の支柱を入れて強い衝撃が加わると、歯が割れてしまう可能性がある。そこで、今回は保険適用外となるが、1本1.6万円(計3万5200円)かけてファイバー強化樹脂の支柱を入れることにした。これは先生おすすめの品だが、何よりも自分がこれにしたかった。

ということで、今回は型取りをして、次回、その支柱を埋め込む作業をする。少し時間がかかるようで、1時間ほど見てくださいと言われた。またお金は保険適用外のものに関しては、クレジットカード決済が使えるので、現金を用意する必要はない。通常の保険適用の支払いは現金払いのみである。

ファイバー樹脂の支柱

2020年6月29日。ファイバー強化樹脂の支柱は、見た目は白くて歯のようだった。何かの器具でピッと音を鳴らしていたので、たぶん紫外線か何かを照射して硬化していたのだろう。

それにしても、前歯はかなり八の字型に開いていることが分かった。小さい頃にがんばって矯正したが、根っこは八の字型に広がりたかったようだ。仮歯も新しくなった。すぐには正規の被せものを付けられないらしく、しばらく様子を見るらしい。

ところで、歯医者さんが出すうがい薬の銘柄を聞いたところ、リステリンのアルコールなしタイプとのことだった。自分でも購入し使ってみることにした。

2020年7月6日。仮歯を外して形を整え、型をとった。うがい薬は正確には「リステリンのノンアルコール、クールミントゼロ」であることがわかった。が、私はなんとなく、オールインワン型の「トータルケアPLUS+」という紫色のものにした。当初、ノンアルコールを使ってみたが、渋柿を食べたような状態になって味覚も変になったので、アルコールタイプに変えた。こちらは刺激は強いものの、渋柿状態にはならない。


(これはうがい薬ではなく、液体ハミガキのため、ブラッシングが必要)

2020年7月9日。前回とった型の上でプラスチック製の被せもの(仮)を作り、実際の歯にはめ込んで、ズレがないかチェックする。問題がなければ、1本10万円のセラミックス製の被せものを正式発注する。⇒問題なかった。確認用の仮歯はピンク色の筋模様が付いていた。次回は色合わせを行うため、歯科医専用と思われるデジカメで歯の部分を撮影した。看護師さんは慣れていないようで、何度も撮り直しをさせられていた。

2020年7月21日。被せものの試作品をはめ込んで、色を確認した。が、思ったよりも色に違いがあったため、次回、修正版を合わせることになった。

2020年7月24日。修正版は色がピッタリだった。これで次回、本番の被せものが入る。


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