ドイツ出張(5)映画の話

2019年9月15日

映画 旅行

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機内で見た映画は「ブレードランナー2049」とウィル・スミスの「アラジン」だけ。個人的に前者が非常に面白かった。




1982年公開の「ブレードランナー」は大好きな作品。2017年公開の「ブレードランナー2049」はその続編だから、ぜひ見たいと思っていたのだけど、なぜかこれまで見る機会がなかった。ちょうどドイツ出張中にBS日テレで放送されたから、録画予約だけはしておいた。

この映画は、私のような中途半端なファンが見ると、なかなか理解が難しい。その分、いろいろと考えさせられるので、楽しいのだが。後で知ったが、そもそも前日譚となるショートムービーがあり、それを見ておくとより一層分かるらしい。映像は美しく、空飛ぶ車も相変わらず超カッコ良かった。


予告編



前日譚(ブレードランナー ブラックアウト 2022)



前日譚(2036:ネクサス・ドーン)



前日譚(2048:ノーウェア・トゥ・ラン)



◇     ◇     ◇


以下、ネタバレを含みます。また、無知による勘違いなどもあるかと思います。(^^;

まず、映画を見始めて、最初の説明の文字が小さくて読めなかった(笑)。エコノミークラスの小さなディスプレイは解像度が低く、文字が読めないのだ。ともかく、レプリカント(人造人間)は寿命の制限がなくなったのかな?前作では4年しか寿命が与えられていなかった。冒頭のレプリカント(サッパー・モートン、ネクサス8、衛生兵)は2020年から2049年まで約30年も生きていたわけだから。なぜ人間たちはレプリカントの寿命の制限を外したのだろう?何か理由があったのかな。

物語は2049年の地球(ロサンゼルス)が舞台。約30年前に旧型レプリカントのネクサス8が奇跡(人間との間に子供を作る能力)を目撃し、奴隷の立場から逃れようと蜂起。レジスタンス的な組織を形成して、ブラックアウト(あらゆるデータの消去)を引き起こした。ネクサス8は製造禁止になり、レプリカントを生み出したタイレル社も倒産した。

一方、2049年現在、新型レプリカントの主人公「K」は、言われたことをなんでも忠実にこなす。旧型の同胞を殺して回る汚い仕事(ブレードランナー)をやらされている。ロス警察(LAPD)内でのKの立場は弱く、奴隷同然で、人間は偉そうに命令する。

さて、前日譚のショートムービーでは、サッパーモートンが女の子を助けようとして怪力を発揮し、レプリカントであることがバレてしまう。それでKは彼の農場に調査に行き、サッパーを倒して、枯れた木の根元に女性の死骸(骨)を発見する。

骨を調べると、この女性は出産時に帝王切開の影響で死んだことが分かった。さらに骨をよくよく調べると、製造番号が付いており、この女性がレプリカントであることが判明する。なんと、この女性レプリカントには、生殖能力があったのだ。この驚愕の事実が外部に漏れることを恐れたLAPDは、Kに証拠隠滅を命じる。

で、この女性レプリカントが予想通り、前作の「レイチェル」であり、前作で一緒に逃げたデッカード捜査官との間に子どもが生まれていたことが分かる。

レイチェルの遺骨は木の根元に丁寧に埋葬されており、花も置かれていた。サッパーモートンやその仲間はレイチェルの出産を助けようとし、帝王切開を試みたが子供しか助けられなかった。そしてレイチェルを埋葬した。それが30年前のことだから、人間とレプリカントの間に生まれた奇跡の子は、今では30歳くらいになっているはずだ。

さて、Kへのテスト方法が「連結」とかたくさん言わせる内容で面白かった。これで何がわかるのだろう?

あと「オフワールド」という言葉が頻繁に出てきて、最初これが何を指すのか分からなかった。仮想空間のことかな?などと考えたが、何のことはない「地球外コロニー」のことだった。人類は地球外に9個のコロニーを形成しており、そこでレプリカントは奴隷として使われている。地球はもうほとんどゴミ溜めと化している。


◇     ◇     ◇


レプリカントを発明した天才技術者タイレルは、前作でネクサス6に両目を潰されて死んだわけだが、倒産したタイレルを吸収してレプリカントの技術を復活させたウォレスもまた盲人だった。この辺りはよく作ってあるなと思った。

ウォレス社はレプリカントの他に、AIでできた仮想彼女「ジョイ」も販売している。ジョイは通常、天井の大型投影装置で表示するが、エマネーター?とかいうモバイルデバイスを使うと、いつでも表示できる。ジョイの起動や終了の際には独特の音楽が鳴る。

最初、エマネーターでジョイが実体化するのかと思ったが、そうではなかった。あくまで幻影である。Kの脳に信号を送ってARを見させているのかな?

ウォレス社は強大で富を支配しているから何でもできそうだけど、かつてのタイレルほどの技術力はない。タイレルは死ぬ前にレイチェルという繁殖能力を備えたレプリカントを完成させていた。しかし、ウォレスはそれを未だに実現できずにいる。

ウォレスは人類が地球外に9個の植民地(コロニー)を持つことに満足しておらず、全宇宙を支配すべきと考えている。そのためには奴隷として大量のレプリカントが必要だが、生産能力が限られているので、なかなか増やせない。それでレイチェルの生殖能力を復活させたいと考えている。

ウォレスは秘書のラヴを使って、Kにレイチェルやデッカード、レジスタンスたちの情報を探らせようとする。ブラックアウトで消失したレイチェルのデータをわざわざKに見せたりする。

ラヴはLAPDからレイチェルの遺骨を盗み出す。それを分析すれば生殖能力の秘密が分かるのではないかと思ったが、どうやらダメだったらしい。レプリカントと人間との間に生まれた“奇跡の子供”の情報が必要なのだ。


◇     ◇     ◇


Kはサッパー農場の木の根元から数字を発見。その数字に見覚えがあった。しかし、レプリカントの記憶は通常、記憶作家が植え付けた人工物なので、Kは自分の記憶を作った記憶作家を訪ねる。

記憶作家(アナ)は30歳くらいの女性で、免疫関係の病気のため、ガラス製の無菌室で暮らしている。アナが調べた結果、Kの記憶は、実際に起きた出来事を元にした記憶であることが分かった。

Kは数字の日に生まれた人物のDNA記録を探る。なんでそんな記録が残されているのだろう?と思ったが、ともかくその日付に生まれた男の子と女の子がおり、二人とも同じDNAを持つことから、一方は偽物だと分かった。

Kは子供の記録を頼りに孤児院に行く。が、そこは子供を奴隷にして鉄くずからニッケル?を取り出す工場&人身売買場だった。そのニッケルで豊かなオフワールドが成り立っているという。

目的の子供に関する記録はページが破られ、なくなっていた。しかし、Kはその工場の焼却炉に見覚えがあった。記憶の通り、小さい頃に隠した木製の馬のおもちゃが見つかり、Kは自分自身が“奇跡の子供”であると確信する。

そんな中、Kの仮想彼女はKのために娼婦のレプリカントを呼んで相手をさせる。仮想彼女は娼婦の体に幻影を同期させることで、Kと結ばれたような感覚を作り出す。

で、この辺がよく分からなかったのだが、この娼婦はレジスタンス組織の一味だったのだから、仮想彼女はウォレスに命令されて娼婦を呼んだのだろうか。あるいは、仮想彼女は本当にKのことが好きで、こうした行動をとったのか。

仮想彼女は自分のメモリーをウォレスに見られないよう、自身をサーバー側からモバイルデバイスのエマネーターに移すようKに依頼する。もしエマネーターが壊れたら、仮想彼女は復活不可能になるため、Kは躊躇するが、結局実行する。仮想彼女はエマネーターの中に移り、デバイスのアンテナを折ることで、完全にスタンドアローンの存在となった。

ただ、アンテナを折ると、ウォレスのクソ女(ラヴ)がすぐに察知したから、やはりウォレスに監視はされていたわけだ。


◇     ◇     ◇


さて、Kは木製の馬のおもちゃがどこで作られたか調べる。放射性があり、ラスベガスだと分かった。一方、クソ女のラヴはアンテナが折られてKの居場所が分からなくなり、LAPDのマダムを殺して警察のシステムを使い、Kを探す。

廃墟と化したラスベガスのカジノにはデッカードが潜んでいたわけだが、養蜂もしてたのかな。後で気づいたが、レイチェルは蜂が手に止まったら即座に殺すと言っていたのに、新型のKは手に蜂を付けても平気だった。それだけKは人間に近いモデルだったということだろう。ところで、デッカードは例の培養虫を食べて生きていたのかな?

そんなこんなで、デッカードはクソ女に捕まった。Kは、大切な仮想彼女の入ったエマネーターをクソ女に壊された。これは本当に可愛そうだった。

瀕死のKはレジスタンスに保護された。レジスタンスの首領は、レイチェルが子供を産む場面に居合わせた仲間で、子供を逃す手立てを考えた人物だった。

そして、奇跡の子供はK本人ではなく、女の子だったことが明かされた。その女の子が木製の馬のおもちゃの記憶を持っていた人物であり、Kに記憶を移植した人物、すなわちガラスの無菌室で暮らしている記憶作家さん(アナ)であることが分かった。

デッカードがクソ女に捕まったので、レジスタンスたちはデッカードの口から自分たちの居場所がバレることを恐れた。

さて、ウォレスはレイチェルの偽物を使ってデッカードから居場所を聞き出そうとするが失敗。このシーンに登場したレイチェルはCGらしいけど、すごく似ていた。

Kは仮想彼女を本当に好きだったのだろうが、街の広告塔で仮想彼女が単なる製品だったことを思い知る。これも本当に可愛そうだった。

せめて人間らしい行動を取ろうとしたのか、あるいは復讐のためか、Kはクソ女を倒してデッカードを取り戻す。レジスタンスにはデッカードを消せと言われていたのだが、デッカードを娘(アナ)に合わせた。そして死んだ。Kがいい人すぎて、本当に可愛そうだった。


◇     ◇     ◇


話を整理すると、前作でデッカードと一緒に逃げたレイチェルは、タイレルが特別に作ったレプリカントだったため、妊娠する能力があった。レイチェルはレジスタンスたちの助けを借りて女の子を出産後、死亡。出産という奇跡を目撃したレジスタンスたちは蜂起し、ブラックアウトを起こした。

奇跡の子であるレイチェルの娘は孤児院に預けられ、8歳まで育てられたが、娘は病気で?ガラスの無菌室に隔離された。病気というのはトリックで、単に遮断したかったのかな?

デッカードは出産前に仲間と別れ、行方をくらませた。レイチェルを守るために、あえてレイチェルを探さずに黙々と孤独に生きた。娘は成長し、記憶作家になっていた。ウォレスに納品する記憶の中に、こっそり木製の馬の記憶を仕込んでおいたのだろうか。

ところでデッカードは人間ではなく、レプリカントだという説もあるらしい。しかし、デッカード役のハリソン・フォードは明らかに歳を取っていた。また、戦闘シーンを見ても、レプリカントほどの強靭さはなかったから、やはり人間と考えるのが自然だろう。人間とレプリカントの間に生まれた子(アナ)は、人間なのか、レプリカントなのか。この辺りが大きなテーマなのだろう。


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