花ボラのついでに魚住先生の炭焼き釜を見学。今日は小屋を建てるための基礎を作っていました。とても面白かったので、メモを残しておきます。知っている人には当たり前の話かもしれませんが、建築の「ケ」の字も知らない自分には大変参考になりました。
まず重要なのが、この黄色い糸。「水糸(みずいと)」というそうです。水糸で作られた平面は水面のように水平になっています。こんなデコボコした土地でどうやって水平面を作り出すのかは、後で出てきます。水糸が交わる部分が柱の中心になります。その下に穴を掘り、砂利を敷いてコンクリートを流し込みます。柱は全部で6本立てます。
水糸の交点から垂直に糸を垂らし、セメントの上に印をつけます。ここが柱の中心点となります。
中心点から「柱の太さ/2」だけずらした位置に金具(アンカーボルト)を打ち込みます。この金具で柱を固定すると、強風や揺れなどに強くなるわけですね。後はコンクリートが固まるのを待ちます。
では、どうやって水糸を水平に張るのでしょうか。炭焼き窯の周囲をぐるりと囲うように作られた「板」が重要になります。この板の上面がすべて同じ高さにそろっており、そこに水糸を張っているので、水平面ができています。では、どうやって板の上面を同じ高さにそろえるのでしょうか。
そこで登場するのが、この道具。「水盛缶(みずもりかん)」というのだそうです(水盛管という表記もあるようですね)。バケツのような容器(缶)に水を入れ、チューブ(管)の中も水で満たします。すると、チューブの先端部分の水の高さはバケツの水面の高さと常に同じになります。チューブの先端部分をいろんな場所に動かしても、その水面位置は変わりません。これによって、デコボコした土地でも常に一定の高さとなる基準面を作り出せることになります。もちろん、バケツを動かしたり、水をこぼしたりしたらダメですが・・・。
チューブの先端部分の水の高さに合わせて杭に印を付け、その印に板の上面を合わせれば、水平面のできあがりです。ちなみに板と板を90度の角度で設置するために、ピタゴラスの定理(三平方の定理)を使って、辺の長さが3対4対5の大きな直角三角形を木材で作り、それを三角定規として使うのだそうです。ただ、今回は先に炭焼き窯を作ってしまったため、その大きな三角定規を中に入れられなかったのだとか。
注意すべき点としては、このように水糸が板の上面から浮き上がっていると、正しい水平面になりません。水糸は板の上面にピッタリくっ付ける必要があります。
水糸で水平面を作ってしまえば、後は簡単。水糸より上に出る柱の長さを、6本ともそろえれば、柱どうしをつなぐ梁も水平面となります。一方、水糸より下の柱の長さは、6本でそれぞれ異なります(基礎部分の高さがバラバラなため)。そこで、水糸よりも下に柱が何mm必要か、それぞれの基礎のところで実測し、その寸法に合わせて柱を切ります。このため、6本の柱はそれぞれ独自の長さとなり、番号やマークなどを付けて管理しないと、正しく組み上がりません。ここで魚住先生が「い」「ろ」「は」と説明していたのが印象的でした。
これは柱の上部に凸部となる「ほぞ」を作っているところです。
こんな感じで「ほぞ」を作り、梁に作った「ほぞ穴」に差し込みます。「もう今日中にも小屋が建つ」とのことでしたが、私は途中で失礼させていただいたため、最後まで見ることはできませんでした。
◇ ◇ ◇
途中、試験的に焼いた炭を見せてもらいました(関連記事)。
きれいに焼けているように見えますが、炭になっているのは上部だけで、下の方は生のままでした。たぶん、この後いろいろと改良されるのでしょう。
それにしても、農家の人はいろんなことを知っているのですね。畑の管理だけではなく、時には小屋を建てたりすることもあるでしょうから、幅広い知識が必要なのでしょうね。私は小さい頃、家族でとなりの空き地を開墾したことがありました。重機を使わずに木の根っこを取り除くのは本当に大変な作業でした。切り開いた土地に自分たちで小屋を建てたいなと思ったものです。今回、ほんの少しですが、小屋作りの基礎を見ることができ、大変参考になりました。(=^・^=)
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